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認知症で銀行口座が凍結される基準とその対策

親が認知症になると銀行口座が凍結されて、お金が引き出せなくなる!という話を聞いたことがあるのではないでしょうか。

この記事では

  • 認知症になるといつ口座が凍結されるのか?
  • 口座が凍結されたらどうなる?
  • 口座凍結を解除する方法はあるのか?
  • 口座凍結されないための2つの対策

について解説していきます。

認知症になると、いつ銀行口座が凍結される?

めったに銀行の窓口に行かない親が認知症である、と判断されるのはいつなのでしょうか?

いくつか理由がありますが、おおむね次の5つの行為で行員に気づかれる事が多いです。

  1. 家族が親の認知症について銀行に相談してしまった場合
  2. 本人が窓口に行った際に、銀行員が判断能力の低下に気づく場合
  3. 家族が本人のキャッシュカードでATMの1日の限度額いっぱいの払出し行為を繰り返している場合
  4. 多額の出金や振込がみられた場合
  5. 口座名義人(親)の年齢を考慮し、銀行から本人に連絡が入った場合

この際、銀行が親に「判断能力の低下」を確認する基準は・・・

  • 本人が窓口まで来られるか
  • 名前・生年月日を言えるか
  • 適切に署名ができるか

などを基準としているといわれています。

銀行口座が凍結されたら実際どうなる?

口座が凍結されてしまうと、実際にどのような事が起こるのかを列挙してみます。

  • 本人・家族でもお金を引き出せなくなる
  • 定期預金の解約ができなくなる
  • 親の生活費や医療・介護費を子供が立て替えなければならなくなる
  • 年金の引き出しや年金受取口座の変更ができなくなる
  • 銀行の「代理人カード」も使えなくなる

このような自体が、本当に起こります。

親の普段の生活に必要なお金も下ろせませんから、すべて自分が立替えざる負えません。

トラ男
トラ男
口座が凍結されてしまうと
このような事が本当に起きてしまいます

既に認知症で口座凍結された場合の唯一の解決方法

親がすでに認知症を発症し、銀行口座を凍結されてしまった!

こうなってしまうと残された解決方法はただ一つ、法定後見制度を利用することで口座凍結を解除できます。

法定後見制度

銀行口座の凍結を解除するためには、家庭裁判所に「法定後見制度の利用」の申立をすることから始まります。

まずは法定後見人を家庭裁判所が選任します。法定後見人には家族が成ることも可能です。しかし家族が後見人となることで、過去多くの不都合が生じたために、今では家裁から選任される法定後見人の90%は第三者(弁護士や司法書士など)が選任されています。

法定後見がスタートすれば口座凍結も解除され、親の様々な支払い等の問題も解決しますが、法定後見では本人はもとより家族の希望も聞き入れてもらうのが難しく、実際の利用者数はかなり少ないのが現状です。「法定後見制度を利用して後悔した」という感想も多數寄せられていて、できれば利用したくはない制度です。

法定後見制度のデメリット

法定後見が使いづらい理由が以下のとおりです。

  1. 原則途中でやめることはできない
  2. 利用開始までに数か月を要する
  3. 本人の財産は裁判所の管理下に入る
  4. 専門家が後見人に選任された場合は報酬が発生する

ここでは簡単に説明してみます。法定後見で選任される法定後見人は一度選ばれると「原則途中でやめさせる」ことが出来ません。特に第三者(約9割)の場合は、家族との意思の疎通も難しい状態です。

口座凍結されてすぐにでも解除したのですが、家庭裁判所が絡む制度なので、開始するまでに数ヶ月と長い期間がかかります。

さらに親の財産は家裁の管理化に置かれるため、家族の希望する使用方法がなかなか反映されない問題もあります。

また第三者が後見人に選任すると報酬が発生し、月額2万円~6万円程度、親が死亡するまでずっと続きます。

法定後見制度とはこのような制度なので、利用する際には十分注意が必要です。

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口座凍結されないための2つの対策

このように「法定後見制度」は最後の手段で、できれば利用したくない制度です。このような状況を防ぐためには・・・

親が認知症になる前に準備をする

ことで、口座凍結を事前に防ぐことができます。その方法には2つあり、家族信託と任意後見制度です。

家族信託で口座凍結を事前に防ぐ

家族信託は親の判断能力がまだ健全なうちに、家族と共に信託契約というものを結び、親の判断能力が低下した時の親の希望を決めておく制度です。

家族信託の財産管理は成年後見制度(法定後見および任意後見)よりもはるかに柔軟で、ほぼ親(委託者)の希望を叶えることが可能な、財産保全の理想的な制度です。

財産管理に含まれる項目は、預貯金、不動産、NISAなど有価証券、事業継承や相続まで自由に管理できます。

デメリットとしては、親の「身上監護(しんじょうかんご)」が契約に含まれないことです。身上監護とは、親の暮らしの維持を目的としたもので、生活・医療・介護などの「契約手続き」を進める法律行為を言います。法律上の行為のみで、実際の生活支援や介護作業などは含まれません。

このように身上監護が家族信託契約に含まれないとはいえ、親の財産管理の内容は、成年後見制度とは比べ物にならないほど、自由に広範囲に管理できますから、まよわず家族信託は選びたい制度です。

任意後見制度で口座凍結を事前に防ぐ

任意後見とは、親本人(委託者)の判断能力があるうちに、家族の中から後見人(受託者)を選び、自分が将来認知症などで判断能力が低下した歳に利用する制度を言います。

契約内容は財産管理と身上監護の両方が含まれますが、財産管理の自由度は「家族信託」ほどではありません。ただ家族信託には無い「身上監護」も含まれるため、親の将来の生活支援を中心に考えたい家族に向く制度です。

この任意後見契約の効力は、判断能力が不十分になるまでは発動せず、本人の判断能力が低下した時から始まります。

トラ男
トラ男
家族信託は財産管理をメインに
考えたい家族に最適です

任意後見の財産管理は家族信託ほど自由度はありませんが
委託者である親の生活面(身上監護)を
メインに考えるのなら任意後見が向きます

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まとめ

親が認知症になってしまい銀行口座が凍結されてしまうと、ただお金が下ろせなくなるだけではありません。

もちろん、それは大問題なのですが、親の生活に関わる医療費から、介護費用、実家の固定資産税などの支払いを、子どもである私たちが立替えて払う事になってしまい、自分たちの生活にまで負担が掛かってきます。

そうならない為の防衛策として、最も理想的な制度が「家族信託」です。親が元気なうちに、早め早めに信託契約を作成してしまいましょう。

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