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法定後見制度はやめた方が良い?不祥事やトラブルを実例で解説

認知症により判断能力の低下すると「資産凍結」をされてしまう場合があります。資産凍結の代表例は、銀行口座、不動産の凍結です。資産が凍結されると、認知症の親の病院代を払いたくても口座からお金を下ろす事ができず、また実家を売却して介護施設の入居費用にしたくても不動産売却もできなくなってしまいます。

こうなると、親の生活費や介護費用は、子どもたちが負担せざる負えません。大問題です。

資産凍結が実際に起きてしまった場合の解決策はただ一つ、『法定後見制度』で解除することができます。

しかし、法定後見制度は曲者(くせもの)で、昨今のニュースでも報道されるように、この制度を悪用されてしまい「財産を乗っ取られる」という被害も多数出ています。そうでなくても、本人や家族の希望を聞き入れてもらえないという不満の声も多く、決して使いやすい制度とは言えません。

この記事では、なぜ法定後見制度を避けた方がよいのかの理由を、実例とともに詳しく解説していきます。

【結論】法定後見制度は出来たら利用したくない!

結論から言って、出来たら法定後見制度は使わない方が良いでしょう。その理由は・・・

  1. 家裁で任命された後見人の悪用が増えている
  2. 本人や家族の希望を聞いてもらうのが難しい

という2点からです。それぞれ説明します。

後見人に悪用された実例2件(2024年最新ニュース)

成年後見人は家族もなれるのですが、現在約90%の後見人は、いわゆる職業後見人と言われる弁護士や司法書士が家庭裁判所により任命されます。

本来、弁護士や司法書士といえば「法の番人」として、信頼がおけるはずなのですが、実際にはそうではない弁護士・司法書士も多くいるようです。以下に事件となった実例を2件ほど紹介します。

【悪用された実例1】

2024/08/20 18:57の記事概要

1億円あまり横領か 弁護士の女 逮捕 成年後見人などで管理していた口座から

弁護士の女が成年後見人などで管理していた男性らの口座から1億円あまりを横領したとして逮捕されました。

広島弁護士会所属の弁護士の女(48)は2020年6月から去年8月までの間に、自身が管理を担当していた県内の男性2人の預金口座から1億円あまりを横領した疑いがもたれています。

地検は容疑者の認否を明らかにしていません。

容疑者の女は今回逮捕された事件の被害者のうち70代の男性から委託を受け管理していた貯金口座から約1890万円を横領した罪で起訴されました。

検察によりますと容疑者の女は自身の自動車購入費用やエステサロン代金として使用したとみています。

【悪用された実例2】

2013/11/15 6:00の記事概要

弱者を食い物?成年後見不正弁護士の発生

今年8月28日、元岡山弁護士会所属弁護士の福川律美被告(65)に対し、岡山地裁が懲役14年の判決を言い渡した。交通事故や医療過誤の損害賠償請求訴訟で支払われた賠償金のほか、成年後見人として預かっていた財産など、計22件で総額約9億円を着服していたもの。福川被告は着服の事実は認めているものの、1審では着服した資金の流用先などは明らかになっていない。福川被告は9月11日付で控訴している。

10月15日には元香川県弁護士会長の徳田恒光被告(81)の論告求刑が行われ、検察側は懲役2年を求刑した。成年後見人として保管していた3人の預金など420万円を着服したとして業務上横領罪に問われたもので、判決の言い渡しは11月26日である。

10月17日には静岡県弁護士会所属の弁護士だった中川真被告(50)に対し、静岡地裁が懲役3年執行猶予4年の判決を言い渡した。こちらも成年後見人として管理していた女性の預金1460万円を、無断で引き出した横領容疑で、検察は懲役3年を求刑していた。

10月30日には、元東京弁護士会副会長・松原厚被告(76)に対し、東京地裁が懲役5年の判決を言い渡した。成年後見人として管理していた、精神障害のある女性の預金4244万円を着服したとして、業務上横領罪に問われた。

このほか、元九州弁護士会連合会理事長・島内正人被告(66)の論告求刑が11月19日に予定されている。北九州市の女性の成年後見人の男性に、女性の財産を共同で管理するよう裁判所から指示された、というウソをつき、女性の預金4400万円を自分の口座に振り込ませたとする詐欺罪のほか、複数の依頼人からの預かり金約1300万円を横領したとする業務上横領罪にも問われている。

成年後見制度に絡む弁護士の犯罪が頻発している。刑事事件化したことが報道されている弁護士は、この2年間で9人に上る。(つづく) 

トラ男
トラ男
法定後見人は家庭裁判所から任命されます
法の番人と言われる弁護士の先生も
簡単に信じてはいけないのですね
もちろん一部の人だけですけど

悪用されないまでも法定後見制度は使いにくい?

法定後見制度の目的は「本人(被後見人)の財産を最大限に守る」ために制定された制度のため、家族が「介護施設などの費用捻出のために実家を売却したい」と申請しても、後見人としては本人の財産を最大限に守る必要があるため、家族のその申し出を却下するという事が頻繁に起こるのです。

こうなると本人を介護施設に入所させるには、家族がその費用を支払わなければいけません。

後見人は与えられた任務である「本人の財産を最大限に守る」ことを忠実に遂行しているだけで、別に悪気はありませんが、家族の希望通りには必ずしも同意できず、却下となる場合が多いのです。

ここが、この制度の不便なところで、本来であれば本人(被後見人)や家族が良かれと思うことでも、後見人としては認められないという事が起こってしまいます。しかも後見人は赤の他人である場合がほとんどですから、被後見人(本人)や家族への温情は「ほぼ無い」と思っていた方が良いでしょう。あくまで職業後見人ですから。

これが法定後見制度はできれば使いたくない2つ目の理由です。

トラ男
トラ男
法定後見人は本人(被後見人)の利益を守る義務を
忠実に行わなければいけない為に
本人や家族の意見と度々対立してしまうのです
この点が「法定後見制度が使いづらい」といわれる理由です

まとめ(結論)

認知症などによる判断能力の低下が原因の「資産凍結」を防ぐ手段には、以下の3つの方法があります。

すでに「判断能力が無い」と診断された場合法定後見制度・使いづらい
・不便な制度
まだ「判断能力がある」場合任意後見制度・法定後見よりもかなり便利だが
・家庭裁判所の関与があるので
・あまりおすすめではない
家族信託・自由度が高く、最もおすすめ

すでに資産凍結が行われてしまった場合には、あまり使いたくない「法定後見制度」のみが解決策になりますが、今までお話したように、任命された後見人による不正も多数発生している事と、そもそも本人や家族の意見が通りづらいという不便さから、できたら選びたくない制度です。

ですから、もし親の認知症などによる判断能力に疑問を持つようであれば、手遅れになる前に「任意後見制度」か「家族信託」を、あらかじめ準備しておいた方が、後々に絶対に有利です。検討してみてください。

トラ男
トラ男
本人(被後見人)の判断能力が無い
と判断された場合の「資産凍結」の解除方法には
「法定後見制度」の利用しかありません
 
でも、もしまだ本人の判断能力があるのであれば
「任意後見制度」できれば「家族信託」がおすすめです
少し早めの対処が必要ですよ♪

参照サイト

親の資産は家族で守る【家族信託】ってなに?

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